「このまま少子化が進むと国民が絶滅する」と言われているのは、日本もドイツも同じです。
先進国で、まじめで勤勉、共働き増加、晩婚化、少子化…。日本人によく似ていると言われるドイツ人。
ところが、今年、ドイツで15年ぶりにベビーブームが起こり、「国民絶滅の危機」を脱したといわれています。
なんと前年比 3.2%増、73万8千人の赤ちゃんが生まれたそうです。
これは大きな変化です。日本でも参考にできるヒントがあるのでしょうか?
●ベビーブームの理由1「ベビーブーム世代が親に」
赤ちゃんがたくさん生まれた理由の1つは、ドイツ連邦統計局によると、1981~91年生まれの『ベビーブーム世代』が大人になり、ちょうど出産する時期になったからだと推測しています。
年齢でいうと25~35歳にあたる世代ですね。
これにより、子どもの出生率もアップしました。
<ドイツ 出生率の変化>
2013年 1.37
2015年 1.47
●ベビーブームの理由2「難民受け入れの結果」
難民流入により、出生する赤ちゃんの数が増えたことも考えられます。
しかし、これはあまり大きな理由とはいえない、と後述のマックス・プランク研究所が見解を示しています。
●ベビーブームの理由3「子育て家庭の支援政策が実を結んだ」
ドイツの学術機関、マックス・プランク研究所の人口動態研究チームによると、赤ちゃんが増えた最も大きな要因は、国や自治体が取り組んできた、子ども手当や、保育所の拡充などの、子育て家庭を支援する政策が、よい成果に結びついたと分析しています。
●子どもが「かわいい」「かわいくない」2極化するドイツ
大人の間で、様々な嗜好が極端に分かれる傾向が、現在のドイツではあるそうです。
子どもを「好む人」か「好まない人」か。
夫婦で持つ子どもの人数が「ゼロ」か「3人以上ほしい」か。
これは日本でも似たような状況だと考えられます。
例えば、一生結婚しない「生涯未婚」か、離婚と再婚を繰り返す「多婚」か、2極化しているといえます。
同様に、子どもの未熟さを「受け入れる人」、「受け入れない人」の差が大きく開いているようにも感じられます。
●日本でもぜひ子育て支援を
ドイツ同様、人々の感情が2極化している日本でも、ドイツのように、子育て支援政策をきっちり行うことで、出生率をあげることができそうです。
子どもを望まない夫婦DINKSがいる一方で、子どもを望む夫婦が、3人でも4人でも希望するだけの人数を産んで育てることができれば、出生率をあげることができます。
全ての夫婦が「1人目の壁、2人目の壁、3人目の壁」をなくせるよう、保育園の拡充や、教育費の無償化など、日本の子育て支援がもっと充実されるといいですね。
Photo by Donnie Ray Jones