厚生労働省が、2016年11月21日、育休を現在の最長1年半から2年に延長する方針を示しました。
今年2月の「保育園落ちた日本死ね」の話題から様々な経過があったようです。
●「原則1年」は変わらないけど…
育休は原則、子どもが1歳になるまで取得できます。しかし保育園に空きがない場合など、現在、特例として1年半は育休を延長できることになっています。
しかし、都市部など、保育園の待機児が多い地域では、1年半経過してもまだ子どもの預け先が見つからず、やむなく仕事を退職するケースが相次いでいました。
これを解決するため、「原則1年」はそのまま、「特例措置を2歳まで」に引き上げることにしたようです。
●「保育園落ちた日本死ね」でも話題に
2016年の流行語の候補にもなった「保育園落ちた日本死ね」というタイトルの、ママのブログ。
保育園に入れなかったために、仕事を辞めるはめになったママの悲痛な叫びが、日本中に知られることとなり、待機児童問題を改めて考えさせられるきっかけになりました。
1人のママの声が、国会を動かしたのは、とても意味のあることかもしれません。
しかしながら、待機児童問題はずっと前からあったのに、なかなか救済の措置が取られてこなかったことの方が、むしろおかしいと言えるのかもしれませんね。
●「待機児ゼロ」だけがゴールじゃない
「待機児をゼロに」と、やみくもに保育園の数を増やしても、地域の子どもの数は毎年増減するので、必ずしも待機児童がゼロになることはないでしょう。むしろ、場所と年によっては、定員割れの園も出てくるかもしれません。
保育の質の低下や、保育士不足など、まだまだ問題はあります。
ですから、今回のように、ただ園の数を増やすだけでなく、保育園に入れなかった家庭が、自宅で子どもを保育できる期間を増やすことで、保育士不足の問題も少し軽減するかもしれません。
子どもも2歳、3歳になると、集団で動くことができるようになり、一人の保育士が多数の子を一度に見ることができるようになります。
●障がいや病気の子にも特例措置を
また、低体重で出生した子や、NICUで長期入院が必要となった子、障がいなどで、平均的な年齢で入園できない子にも、特例措置で、長期の育休が認められるようになるといいですね。
「障がい児を産んだら人生詰んだ」と母親が犠牲になる日本ではなく、どんな子どもが生まれても、みんなが健やかに育つためのサポートを受けられて、両親が生き生きと働き続けることのできる日本になれば、少子化問題や差別などもなくなっていくのではないでしょうか。
●運用はもう少し先
当初は「育休を最長3年に」とも言われてきましたが、とりあえず2年でスタートさせるようです。
ですが、まだ可決されているわけでなく、実際に運用されるまでの道のりがあるようです。
大手企業や公務員など職場によっては、既に育休が2年・3年あるケースもありますが、多くの企業では国の基準に応じて、最長1年半となっています。
また、もし育休が3年あっても実際は、めいっぱい利用する人はあまりいないようです。
それは、子どもが1~2歳を過ぎると保育園に入りにくいこと、職場を長く離れることへの抵抗などが主な要因です。
育休や復帰後の職場での理解が進むよう、企業にも協力を進めていく必要がありますね。
また、正社員の育休だけでなく、パートタイマーや、一度出産育児のために退職した人の再雇用をしやすくするなど、全ての子育て中の人が、働きやすくなるといいですね。
Photo by Shanna Riley