脳には1000億個の細胞があり、体や精神にかかわる多くの部分が存在していますが、その中でもっとも小さい器官となるのが海馬(かいば)です。
脳全体の細胞数からすると1万分の1ぐらいですが、その小さな海馬が、人間の記憶に関してとても重要な役割を果たしています。
海馬の役割は、簡単に言ってしまうとパソコンのバックアップデータを残すメモリと同じです。
海馬の働きを細かく見ると、まずは新しい情報が送られて短期記憶となり、受容体が増加すると神経伝達物質が増量していきます。
すると、タンパク質が合成されてシナプスが伸び、長期記憶になって保存されます。
その一方で、覚えておく必要がないことは、忘却となって情報を消去していきます。
こういった働きを見れば分かるように、海馬は記憶のほとんどを司っているのですね。
その海馬の成長には、子供の頃の睡眠が大きく関係しています。
睡眠を十分に取っている子供は、睡眠が短い子供と比べると海馬の体積が大きいということが分かっています。
海馬の体積は睡眠時間の長さに比例していて、長ければ長いほど体積も大きくなっていきます。
海馬が大きくなれば、その分記憶の容量も増加しますから、それだけいろいろなことを覚えておけるようになるということなのです。
最近は物覚えが悪かったり、学校の勉強についていけない子供が増えていますが、それは昔と比べて睡眠時間が減少していることが原因の一つかもしれません。
子供の記憶力を低下させないためにも、睡眠は十分に取らせてあげるようにしましょう。
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